ALEXA CARLISLE

アレクサ・カーライル

アレクサ・カーライル ALEXA CARLISLE

家族の死

インテル

カーライル家は由緒ある英国系。

把握できている祖先としては、バラ戦争でナイト爵を授けられた騎士が最も古い。

カーライル家は、何世紀にもわたり、権力の中枢から遠く離れた田舎の貴族社会になじみ、静かに暮らしていたという。

これが変わったのは1850年代。狡猾で野心的なイカボド・カーライルが第二次アヘン戦争中に大金を稼ぎ、海運、鉄道、新聞発行で世界的な帝国を築いた。

君主と緊密な関係を維持していた一族は、まだ強力だった大英帝国で有利な契約を確保した。20世紀の間、輸送とメディアに多額の投資を行い、現在でもなお、カーライルグループは、海運、物流、航空、新聞、GNNなどのケーブルネットワークなど、多種多様なポートフォリオを管理している。

第二次世界大戦直後、トーマス・アレクサンダー・カーライルは、激動する世界市場の主導権を握る機会を見いだした。大学時代の社交クラブ仲間であったストイフェサント家とイングラム家の跡継ぎに近づき、膨大な資産と資源をプールして、後にプロヴィデンスと呼ばれることになる団体を設立した。以来、カーライル家は表舞台から去り、英国貴族以外でこの名を知る者は少数となった。一族は莫大な資金力を持っているが、その影響力こそ彼らを一大財閥たらしめた所以だ。

ここ数十年間、カーライル家は技術系企業に多額の投資を行っており、ソーシャルメディアの発展とポスト真実時代の台頭に、影ながら大きな役割を果たしてきた。エーテル社（バイオテクノロジー）、クローンシュタット・インダストリー（ロボット工学）、ダイナスティ・グローバル（オンライン小売業）、クアンタム・リープ（消費者向け技術）などの重要なプロヴィデンス資産はどれも、主にカーライル家の管理下にある。

現在の一族の長アレクサ・カーライル（75）は、プロヴィデンスパートナーの最年長者にして、非公式のリーダーである。非常に冷酷で、抜け目がないアレクサは、威厳があり、誇り高く、貴族特有の無遠慮さを持っている。

若い頃、貴族階級の海軍士官リンドン・ジェームズ・ウィッティングワースと結婚している。現在、グレゴリー、エドワード、レベッカの3人の成人した子供がいる。アルコール依存症だったリンドンは、1978年に交通事故で亡くなり、その後、アレクサは再婚していない。

2番目に産まれたアレクサは、自分が一家の長になるとは思ってなく、本来ならば、その責任は長男モンゴメリーに降りかかるべきものであった。ケンブリッジ大学を首席で卒業したアレクサは、1970年代の男性優位の海運業界で、実績のみで華々しい出世を成し遂げた。

しかし、悲劇がカーライル家を襲い、アレクサの運命は変わってしまう。

モンゴメリーがカーライル家の屋敷のバルコニーから転落死したのだ。これに一番下の弟ザカリーはひどいショックを受け、神経衰弱になって長期入院することになった。ザカリーは自分のキャリアを捨て、ソーンブリッジ屋敷に閉じこもり、それ以来、世捨て人としてひっそりと暮らしている。

男性の跡継ぎがいなくなってしまったことで、トーマス・カーライルは、急遽アレクサを、新しい一家の長およびプロヴィデンスのパートナーに仕立て上げることを余儀なくされる。

"見習い"となったアレクサは、断固とした野望と地政学的操作の才で、非西欧地域におけるプロヴィデンスの拡大に貢献した。フォークランド紛争では軍事政権転覆の画策で一役を担い、冷戦では初代コンスタントであるヤヌスと共に、両側を巧みに演じてプロヴィデンスに有利な状況をもたらした。1960年代、アレクサの父親は、最先端の人間強化プログラムがあるルーマニアの「人類最良化計画研究所」を支援し、アレクサはそこを暗殺機関に作り替えた。施設の被験者たちの"白紙化"が行われたのは言うまでもない。この決断により、アレクサは後に大きな犠牲を払うことになる。

アルツハイマー病をわずらい、トーマスが年老いていくにつれ、アレクサの責任はさらに大きくなった。そして、1988年、ついに完全なプロヴィデンスパートナーの地位に就いた。

30年以上、アレクサは世界で最も権力を持つ影の女性だった。しかし、現在、力の構造が変化している。3人のパートナーのうち、アレクサだけが不吉な前兆を冷静に感じ取っている。プロヴィデンスが最高管理者アーサー・エドワーズの策略に屈しているということを。

もはや、できることは、カーライル家の遺産を守ることだけ。そして、おそらく、尊厳を持って死ぬことだ。