CARL INGRAM

カール・イングラム

カール・イングラム CARL INGRAM

世界の頂点

インテル

イングラム家は北欧系。

把握できている祖先としては、ノルウェーの鍛冶屋が最も古い。一族は、19世紀初めにアメリカに移住し、牧場主になっている。やがて、アメリカ独立戦争中に火薬を売って富を築き、後に石油、石炭、鉄鋼で帝国を築いた。

20世紀に入る頃には、世界有数の石油・石炭会社になり、農業、製薬、消費財などの分野へと帝国を拡大し始めた。実のところ、一族の最大の収入源には、スワック飲料会社や世界的なチェーン店が含まれている。

ハムスン・オイル、ブルーシード農業、バックス・ムンドゥス基金（地政学シンクタンク）などの主なプロヴィデンス資産のどれも、イングラム家が主に管理している。しかし、重要な石油と石炭の市場を支配して得た、その絶大な政治的影響力こそ彼らを一大財閥たらしめた所以だ。

上院議員、内閣官房、軍司令官、さらには高位の教皇顧問など、世界中の政府機関に配置されているプロヴィデンスの工作員のほとんどは、イングラム家が送り込んだ者であり、サウジアラビアのアル＝ガザーリー家やメキシコのモレノ麻薬カルテルなど、中東や中南米の権力者と緊密な関係にある。

現在の一族の長カール・イングラム（66）は、プロヴィデンスのパートナーたちの中で2番目の年長者だ。

向こう見ずで、遠慮がなく、根はカウボーイそのもの。莫大な富と特権を持ちながらも、一族はプロテスタントの労働倫理を守っている。カールにとっては、カンザスにある牧場や油田が一番のくつろげる場所のようだ。そのため、ビジネスパートナーや政治的支援者を品定めする際には、そこへ呼び寄せている。

カールは、まるで獅子のような威圧的な空気を漂わせ、力強い握手を交わす男だ。知的で、洞察力が鋭く、相手を明敏に判断する。

若い頃、カールは軍隊に入隊し、ベトナムでの軍務期間をサイゴン陥落直前に終えた。学業を終わらせるために帰国したカールは、ドミノ理論に概ね理解を示しながらも、軍事作戦は時代遅れで効果がないと考えた。戦争は、部隊を投入するのではなく、権謀術数を巡らしながら、企業の影響力でじっくりと戦うべきである、と。

カールは軍の諜報活動について学び、若干32歳でホワイトハウスの外交政策顧問になった。そして、40歳で父ダグラスからイングラム家の不動産の管理を相続すると、裏の実力者としての地位を確立するための、政治手腕と企業力の両方を手に入れるようになる。政党に関わらず、彼の一声で選挙運動、はたまた関係者のキャリアまでも有利にも不利にもなった。それにもかかわらず、一族の名前と同様、彼の名を知る者は少ない。脚光を浴びるよりも、ひっそりと裏で策略することを好むためだ。そして、1994年、父ダグラスの代わりに、ようやくプロヴィデンス・パートナーの地位に就いた。

カール・イングラムは自由主義者と思われがちだが、実際には、その実用主義は政治の枠を超えている。自分自身とプロヴィデンスを、世界の安定と現状維持の先導者と考えており、その綱渡りには柔軟な考えが必要になる。例えば、カールは気候変動対策に多額の投資をする一報で、気候アジェンダを弱らせるために数十億ドルを費やしてきた。しかし、これらはすべて社会の利益のためだという。プロヴィデンスの決断力のみが、世界を崩壊、激変、革命に追いやることなく、持続可能な時代に導くことができると信じている。

カールは2度結婚し、最初の結婚で2人の息子をもうけ、2度目の結婚で養子を取った。どの跡継ぎもプロヴィデンスの存在を知らないが、一番の可能性を秘めている養子を後継者に選びたいとカールは考えている。感情に流されず、頑固な実力主義者であるカールは、自らの権力というものを軽視することはないが、悪びれることもない。有能な者だけが支配する権利と責務を持ち、エリート層にとって力とリーダーシップは特権ではなく、義務であると信じている。

しかし、同じ立場のマーカス・ストイフェサント同様、カールはそのプライドが邪魔をして、アーサー・エドワーズの脅威が見えていない。バトンを渡すには、時すでに遅しかもしれない。