DON ARCHIBALD YATES

ドン・アーチバルド・イエーツ

ドン・アーチバルド・イエーツ DON ARCHIBALD YATES

別れ

インテル

ドン・アーチバルド・イエーツは、大手法律事務所モーガン・イエーツ＆コーンの有力弁護士にして共同設立者。

ニューヨークの不動産業界の大物、アーチボルド・イエーツを父に持ち、アルゼンチンの有名なワイン製業者カストロ家の出で事業経営者のヘレナ・イエーツを母に持つ。弟のザカリーと共に、マンハッタンのアッパーイーストサイドの恵まれた環境で育った。

ドンは幼い頃からホワイトハウスを目指していた。野心的で、常にクラスでトップの成績を収め、エリート高校の生徒会長に圧勝で当選した。堂々としていて、雄弁で華やか、そして社交的なドンは、どこにいてもエネルギーに満ち、直感が鋭かったため、どこでも活気を与えていた。35歳までに司法長官、42歳までに大統領になる計画を、恥じることなく誰にでも話した。しかし、ハーバードロースクールに在学中、ニューヨーク州南部地区連邦検事代理の実習を受けると、血がたぎる法廷内の頭脳戦にすぐに夢中になった。

イエーツは、未練もなく政治的野望を捨てると、親友である、精悍なケネス・モーガンと恥ずかしがり屋で分析上手なセオドア・コーンと共に、法律事務所を共同設立した。イエーツとモーガンは会社の顔として法廷でクライアントの代理を務め、コーンは事務所内で税法を専門として、金融サービスを担当した。

モーガン・イエーツ＆コーンは、急速に大物の顧客を獲得していった。その驚くべきあくどさで、1980年代の「強欲は昔」と言われた金融街時代の代表的な法律事務所となった。とりわけ、イエーツとモーガンは、重要証人を脅して投資銀行ミルトン＝フィッツパトリックの不法取引容疑で無罪を勝ち取ったときに、その悪名が知れ渡ることになった。この大胆な仕事に、プロヴィデンスは注目した。この頃、ドン・イエーツは知らなかったが、プロヴィデンスはすでに父が運営していた不動産信託を管理していたのだ。

1990年代には、モーガン・イエーツ＆コーンは、東海岸で最も強力な法律事務所になっていた。進歩主義者からは企業悪の手先だとされながら、脅迫、賄賂、虚偽の証拠、罠、中傷、殺人など、あらゆる手段で富豪層の顧客を弁護した。代表的なものには、チェルシー・ホイットモア事件における、ケネス・モーガンの伝説的な「金満病」の弁論、クローンシュタット・インダストリーのトゥンガン・バレー事件の巧みな弁護、そして、顧客基盤を拡大しようと、サハラ以南のアフリカの地下水にニコチンを混ぜたとして起訴されたファン・オルテン・タバコ会社の、イエーツによる衝撃的な無罪判決がある。

2000年代初め、イエーツはアルゼンチンの高級外交官ヴァレンティーナ・モラレスと恋に落ちた。聡明で、それに負けずとも劣らない冷酷さを持つモラレスと、長くロマンチックで知的な関係を楽しんだ。しかし、2016年、ヴァレンティーナは政治スキャンダルに巻き込まれ、それまでのキャリアが突如として水の泡となった。意気消沈してアルゼンチンに帰国したヴァレンティーナは、イエーツが副業で経営していた、先祖代々のブドウ園を管理することにした。そして、イエーツも60代になって、本業の引退を検討し始めた。しかし、運命は違う道を用意していた。

最初に、バンコクでケネス・モーガンが予期せず亡くなり、その後、ルーカス・グレーとその民兵による「恐怖の数か月」が起こった。スゴール島での誘拐の後、アーサー・エドワーズはドン・イエーツに近づき、「幹部の交代」が差し迫っていることを示した。プロヴィデンスのパートナーが死ねば、エドワーズはすべてのプロヴィデンスの資産が手に入る。エドワーズは、イエーツをコンスタントにする代わりに、新しい超国家的企業体の設立に協力することを求めた。

年老いても野心が色褪せることのないイエーツは、このチャンスに飛びつく。モーガン・イエーツ＆コーンから退くことを発表し、プロヴィデンスの3代目コンスタントとしての新しい地位に就く準備を始めた。

「肝っ玉」のドン・イエーツは、弁舌が立ち、カリスマ性があり、1億ドルの笑顔の後ろには尖った牙を隠している。口数は多いが、威圧的な存在感がある。センスが良く、天才的な弁論家で、策士だ。目的を達成するためなら手段を択ばない。

唯一、邪魔になっているのは、ダイアナ・バーンウッドだ。